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光ディスク三位一体論 – 後編

長期保存用のディスクとドライブ、記録品質検査の三位一体の組み合わせの必要性をご紹介します。前回に引き続き掲載するコラムは、関東イメージ情報業連合会(KIU) 2017年10月11日発行の『IMハンドブック2018』に掲載された弊社執筆記事です。

前編では、ポイント1としてドライブとディスクの組み合わせの重要性、ポイント2として経年変化によってデジタルデータエラーが変化するディスクが存在することをご紹介しました。今回の後編では、ポイント1と2の問題が解消される組み合わせと検査機能について掲載します。

ポイント3:長期保存用光ディスクと専用ドライブ

ポイント1と2の問題点が解消されたものが、長期保存用光ディスクとその専用ドライブの組み合わせです。


  • 相性問題が存在しません。ドライブメーカーは長期保存用ディスクにライトストラテジーを最適化した専用ドライブを上市しており、ディスクメーカーはどの型式の専用ドライブを使用すれば良いのかを明確に示しています。
    CD-ROMやDVD-ROMは経年変化が少なく再生互換性の高い再生専用メディアです。ライトストラテジーの最適化を例えるならば、このROMのピット形状に限りなく近くなるように記録方法を最適化したものと言えます。

  • JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)では、アーカイブ用光ディスク製品認証制度を開始しており、ここで認証されたドライブとディスクの組み合わせを使うことにより、長期保存性能が担保されたディスクを作成できます。
    アーカイブ用光ディスク製品認証製品一覧のURL
    http://www.jiima.or.jp/certification/list.html

  • 長期保存用光ディスクは、長期保存性能の高い記録膜を採用しているだけでなく、データ再生不良が発生する確率を更に低減するために、一般市販ディスクよりも厳しい検査基準に合格したディスクだけが出荷されています。

  • 長期保存用光ディスクと専用ドライブで記録されたディスクは、ISO/IEC16963に代表される寿命試験規格をクリアしており、媒体の長期保存性能は確認済みです。

  • 長期保存用DVD-Rは有機色素材料を使用しており、30年以上の推定寿命を持ちます。
    長期保存用BD-Rは無機材料を使用した記録方式のため更に耐久性が向上し、200年以上の推定寿命を持ちます。

※第三者機関ADTC(特定非営利活動法人アーカイヴディスクテストセンター)におけるISO/IEC16963を参考にした評価結果を受けたディスクの場合。

ポイント4:悲劇を起こさないための検査機能

光ディスクの大きな特徴の一つに、デジタルデータエラーを測定できるという点が挙げられます。デジタルデータエラーとはディスクからデータを読み出す際の、読み出しやすさの指標です(エラーレートと同義語です)。記録直後だけでなく、定期的にデジタルデータエラーを測定することにより、ディスクが読めなくなる前に新たなディスクにマイグレーションすることが可能になるのです。

長期保存用ドライブにはデジタルデータエラーを測定する機能が付いているものもあります。また初期記録時、定期検査時のデジタルデータエラーの規格値はJIS Z 6017で明確に定められていますので、専門の知識や経験がなくとも簡単に測定する事ができるような環境が整っています。

光ディスク三位一体論

●長期保存用光ディスク
●長期保存用ドライブ
●記録品質検査

長期保存用光ディスクを、長期保存用ドライブで記録し、記録品質を検査することで、初めて長期保存性能が担保された光ディスクが完成します。また定期的な品質検査を行うことで、貴重なデータを失う危険性も限りなく低くなります。

この三位一体の運用をすることで、市場から求められている光ディスクアーカイブに応えることが可能になります。

光ディスクアーカイブ採用事例

以下に代表的な採用事例を示します。