120GBもの容量があるのはDVDより強力な能力を持っているからです。DVDより優れた強力な能力とは?
BD-R(Blu-ray Disc Recordable ) XL(片面3 層)のデータ記録容量は100GBです。何故そのディスクに120GBものデータが記録できるの? と思われるでしょう。今回は長期保存用光ディスクの中でも記録容量の大きいBD-R 100GBに焦点を当ててお話しをします。
突然ですが、誤り訂正とは『データの誤りを検出して、その誤りを訂正してデータを復元させる技術』の事で、デジタル機器においてはよく使われる技術の一つです。
誤りを検出したり訂正するための方法にはいくつかあります。
・パリティチェック
・チェックサム
・CRC
・リード・ソロモン符号(Reed-Solomon Coding)
・ハッシュ関数
誤り検出の一例としてバーコードを元に説明します。
このバーコードは13桁のJANコードですが、最後の1桁(数字7)は、チェックデジットと呼ばれる誤りを検出するための数値が埋め込まれており、「Modulus 10 wait 3」という計算方法で算出されています。
バーコードリーダーをかざして読み取り、上位12桁の数値を元にチェックデジットを計算し、その値が読み取ったチェックデジットと一致していれば正常に読み取れたと判断します。このように誤りを検出する事で読み取りミスを防いでいるのですが、あくまでこれは誤り検出のみで、誤り訂正までは出来ません。
一方BDでは誤り検出だけでなく誤り訂正も出来ます。その誤り訂正の方式には、リード・ソロモン符号(略称:RS符号)が採用されています。
RS符号はBDだけでなくQRコード、地上波デジタル放送などにも使われている強力な誤り訂正の仕組みです。
BDやDVDでは、ECCブロック(ECC:Error Correction Code)と呼ばれるブロック単位で誤り訂正が行われます。
DVDの1ECCブロックに含まれるユーザーデータは32KBですが、それに対してBDは64KBと、2倍のユーザーデータ量になっており、ブロックサイズが大きい分だけ訂正能力も向上しています。またBDではLDC (Long Distance Code)とBIS(Burst Indicator Subcode)という2つのRS符号が用いられており、高い誤り訂正能力を有しています。
BDのECCブロックの中身はどうなっているかと言いますと、
1ECCブロックに含まれるユーザーデータ 65,536バイト
1ECCブロックに含まれる訂正コード 11,344バイト
合計 76,880バイト
このように、1ECCブロック内のデータのうち、約15%は誤り訂正に用いるためのデータで構成されているのです。実際のディスクに記録する際には、ECCブロックが更に細分化され、SyncやDC controlなども付加された物理クラスターとして形成され、その一つの大きさは約80KBになります。これを100GBのディスクで計算すると、実際のディスクに記録されるデータの総容量は約120GBにもなるのです。
ユーザーが写真データを100GBのBD-Rに記録したい場合、書き込みソフトを使って100GB分の写真データを選んで記録開始ボタンを押します。
この100GBのユーザーデータはPCからBDドライブに送られます。そしてBDドライブがBD-Rのディスクにユーザーデータを記録するのですが、その時に誤り訂正コードも含めてディスクに記録します。だからユーザーデータが100GBであっても、実際にディスクに記録されているデータは120GBにもなるのです。
これだけ強力な誤り訂正能力を持ったBD-Rです。
長期保存用BDドライブと長期保存用BD-Rディスクを使うことで、長期にわたり安全、安心のデータ保存を実現します。
大切な写真データなどの保存にいかがでしょうか?