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大切な思い出を残すために フィルム電子化(デジタル化)の薦め

保存に際し、フィルムの最大の弱点とは?大切な写真を末長く保存するためにフィルムの電子化(デジタル化)をおすすめします。

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1.映像データ記録媒体としてのフィルム

高機能、高画素化が進む今日のデジタルカメラ。現在ではすっかり写真業界のスタンダードになりましたが、その一方フィルムで撮影するアナログ写真(銀塩写真)もまだまだ根強い人気を誇っています。その理由は様々ですが、デジタルにはないフィルムならではの深みや発色の重み、階調表現、粒子感などが人気の答えなのではないでしょうか。

もちろんこれらはデジタル写真でも擬似的に再現可能ですが、レンズを通して光をフィルムに導き、感光素材である「銀」に焼き付けるという行為は、写真がこの世に誕生してから築き上げてきた幾年のロマンを感じます。

モノクロネガフィルムであれば、自身で暗室に入りフィルム現像、プリントワークを楽しむこともできます。またリバーサルフィルムを使用した撮影では、デジタルとは異なり、撮影後の処理ではなく撮影時に正確な色補正、フィルターの選択、プラスマイナス1/3段の狂いも仕上がりに大きな影響を及ぼすため厳密な露出設定が必要不可欠です。これらを判断する撮影技術こそ写真の醍醐味、という方もきっと少なくないはずです。 また、フィルムは長い歴史の中で構築された、もはや完成された映像記録媒体といっても過言ではありません。現像されたフィルムに光を通せばいつでも像を確認でき、デジタルデータとは異なり目の前に「物」として、画像を確認、保持することができます。

2.長期データ保存には不向きなフィルムの弱点

ただし、フィルムの最大の弱点は、保存環境や現像時の処理によって画像が物理的な損傷を受け、退色、像の消失といった症状が発生し、そのことが最近話題になってきました。特に昔に撮影され残されてきた資料性の高い写真ほどそのダメージの進行具合が深刻なことが多いのです。これは現像後、長期の保存中に発生する様々な要因が作用しており、例えば現像処理がきちんと行われておらず、残留薬品や現像処理不足によるフィルムへのダメージや、保管環境が悪くカビや傷が入るといった内容が挙げられます。

その中でも特に恐ろしいのが、これからご紹介する「ビネガーシンドローム」と呼ばれる症状なのです。

この症状はフィルムの構成物質が長期保存中に化学変化を起こし、フィルムの反り、縮小、歪み、スリーブケース(フィルムを入れておく樹脂ケース)への貼り着きを起こし、やがてプリントやスキャニング等ができなくなってしまうというものです。発症したフィルムからは強烈な酢酸臭が発生し、これがこの病名の由来となっています。原因は様々な要因が複合的に合わさって発生すると考えられ、どのタイプ、メーカー、年代のフィルムにも起こる可能性があり、さらに一度発症すると進行を止めることができません。

3.写真データの長期保存のためにフィルムの電子化(デジタル化)を

これらのトラブルから自分の大切な写真を守るためには、湿度や通気を管理した環境でフィルムを保存することが大切ですが、それでも完全にフィルムを経年劣化から守ることは厳しいと言わざるを得ないでしょう。

そこで注目されるのがフィルムをスキャニングし、画像をデジタル化しバックアップする、いわば「フィルムの電子化」です。一度スキャニングしてデジタル化した写真データは経年劣化を起こすことはありません。さらにその写真データを整理し、長期保存に適した記録媒体に記録させ、複数にバックアップしておけば、フィルムに加えて複数の同画像のデータが存在することとなり、より安心して保存することが可能です。また多少の退色や傷であればスキャニング時に修正することもできます。

フィルムの経年劣化は私たちの気付かない間に進行します。大切な思い出や決定的瞬間を捉えた自信作を後世に末長く残すためにも「フィルムの電子化」を強くおすすめします。